みんなの冷蔵庫(仮)2
光の秘密
宙を舞い落ちるわけでもなく、目を開けるとそのまま床の上に立っていた。


足元への違和感はない。


気温もそんなに変わらない。


風も、日光もないけど、暗くない。
でも、明るくもないけど。


「くらら?」


背後で聞きなれた低い声がした。


「どうして?」


振り返ると、顔いっぱいに驚きの表情を浮かべた京極が立っていた。


「あんたが……出て来なかったから心配して……」


ここに入る前と少しも変わらない京極。

ホッとして気が緩み、目頭が熱くなる。

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