みんなの冷蔵庫(仮)2
私も普通に苗字がシオタだと思ったけど。字はお塩の塩かと思ったけど。

京極は何をそんなに興奮してるんだろう。さっぱり分からない。


「くそっ! 気付かなかった……」


京極は唇を強く噛み、苦渋の表情を浮かべていて。

握った両の拳は小刻みに震えている。

何?

なんなのかさっぱりわからない。


「佐田は気付いていたからあんな……」


京極は独り言のようにそう呟くと、私をじっと見た。


「まずここから出よう。本当の意味で、犯人はわかったから」


その声が寂しそうに聞こえたのは、気のせいだろうか。
なんだか聞いていた私の胸も、少し縮こまった気がした。

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