【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
結が顔を上げた。


「何だぁ?お前ら。そんなバカっぽい顔しやがって」


にかっと笑った顔があまりにもいつも通りすぎて、今聞いたことが空耳なのではないかと思わせた。


「だって、」


疾風たちは固まったままだ。

長年を共にした幼馴染みが生け贄になるなど信じられないのだろう。

死を表す言葉が、親友に当てはまるなど。


「心配すんな。誰にだってできることじゃないぞ?身体を張って世界を守るなんて、正義のヒーローみたいでカッコいいじゃねーか」


かける言葉が見つからない。


「そんな顔すんなよ」

結がくしゃっと露李の頭を撫でた。


「今って決まったわけじゃないんだからな?お前が頑張れってくれりゃ花霞だって丸く収まるんだけどな、いざとなったら──俺が助けてやるから」


それは、そんなの。





「帰るぞ?」






くるりと向けたその背中が、泣いているように見えた。








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