【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
しかし、いくら五人と言えど何時間もぶっ通しで妖力を行使するのには限界がある。
案の定、息も絶え絶えに座り込んでしまっているのだ。
夜の帳はとっくに下り、星が煌めいている。
山々は闇に成りを隠し、ただ静かなだけの空間が広がっている。
「皆さん、そろそろ中へ」
海松が五人に遠慮がちに声をかけた。
夕食だ夜食だと呼びに行こうが優しく笑ってかわされ、今に至る。
海松とて露李に目を覚まして欲しいのは変わらないのだが、彼らを死なせてしまっては元も子もない。
幼馴染みとしても夕食や夜食を摂って欲しかった。
妖力の出所は己だ。
その力の倉庫が空になれば妖力だけではなく命すら危険にさらしてしまう。
それが、最初の戦いで起こったことだ。
あの時はダメかと思った、というのが海松の本音だ。
今となっては口が裂けても言えないが、あの恐怖は二度と味わいたくない。
露李の、あの不思議な銀の力が妖力を生み出し事なきを得たが。
──それに。
海松は寂しそうに笑みを浮かべた。
無理をしていることが一瞬で分かるような微笑みだ。
皆さんに何かあれば、露李さんに怒られてしまいます。
あの強気な風花姫はきっとそうだろう。
守れなかった自分を、責めるはずだ。
─だから、私が見張っておきませんとね。
海松にとって露李は初めての女友達だった。
巫女として神影に仕え、学業は高校入学の年にもう卒業できる内容を修めた。
学校に行っていたのは義務教育時のみで、それからはひたすら力を磨くことと巫女の基本的な仕事をこなしていた。
だから、友達と呼べる女子はいない。
引っ込み思案な自分に、あんなに屈託無く笑いかけてくれたのは後にも先にもきっと露李だけだろうと海松は思っている。
最初こそ心を閉ざしていた露李だったが、あの明るい笑顔はまさに光。
「妖力が尽きてしまいます。少しでも食べて下さい」
「俺たちはもう少しやってるよ」
疾風の気のない返事に首を傾げる。
「いけません、疾風くん」
こうなれば切り札を出すしかない。
「今日はお肉三昧ですから、せめて」
結と疾風の表情が変わった。
その途端に腹の虫が合唱を始める。
「…入りましょうか」
海松はまた小さく笑って玄関へ歩きだした。