【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく
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「え」

次の瞬間、日本庭園に着地していた。


「氷紀兄様、ここが」


「うん有明様の家。あ、それと露李」


「何ですか?」


「本名で呼ばないで。ここではもう俺は氷紀じゃないから」

それは、どういうことだろう。

上手く納得できないままに頷く。

何かしらの理由があるのだろう。

そんな露李の考えを読み取った水無月は、露李の頭を撫でた。

勿論、触れられないので露李は感じていないのだが。


「露李には言ってなかったね。そろそろ奴らが来るだろうからまた後で言うよ」


「はい。あの」


「何?」


「それ、感触あるんですか?」
 

不思議そうに自分の手を見つめる露李にまた苦笑。


「いや、ないかなー。でも動作するのとしないのとじゃ大分違うでしょ」


ああ、と露李が相槌を打った。


「水無月。戻ったのか?」


星月夜だ。

今までのこともあり、思わず身構える。


「星月夜ー。久しぶりだねー」


「そんなに経ってないだろうが。これだから若造は」


「若造関係なくない?」


そう憎まれ口を叩きあっていたところで、星月夜が露李に視線を移した。


「…っと。風花姫の嬢ちゃんか。妙に強い気を放ってると思ったら、まさかもう開花したのか?」


「開花っていうかねえ。元々持ってた力が戻ったから適応できてないんだよ」


親しげな様子に戸惑う露李に代わって水無月が答える。


「はー。大変だなお前ら。てめえはどうしたんだよ。ついに逝ったのか」


「それも違うんだよねー。たぶん守護者くんたちが俺の体保管してくれてると思うけど」


「遺体安置所にか」


「洒落になんないからね、それ。死んだ訳じゃないから俺」

「そうか、良かったな。忘れてた、早く有明様の所へ行け」


「はぐれ鬼のお前の帰還を許したんだ、くれっぐれも無礼はするなよ」


「あ、だから入れたのか。んー、それは俺を許した訳じゃない気がする」


「どっちにしろ入れたんだからゴチャゴチャ言うな」


恐らく結界が張ってあるのだろう。

つくづく何者か分からないな、と露李は一人思案した


「ま、それはそれとして。行こっか露李」


「あ、はい」

敬語に戻ってしまったことを少し寂しく思いながらも、露李を誘導する。


「堂に入った兄ちゃんぶりだな、水無月」


「うるさいよ」


星月夜はニヤニヤと水無月をからかう。


「全く、露李露李うるせえなって思ってりゃ出て行きやがって」


「はいはい、悪いねー」


軽く受け流す水無月。

露李はこれまでのことを思い出していた。


敵として出会ったはずなのに。


不思議な感覚だ。



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