【流れ修正しつつ更新】流れる華は雪のごとく


「皆さん、そろそろ朝食を召し上がってください!冷めてしまいます」


痺れを切らした海松が鶴の一声を放った。


「えー、俺ら悪くなくないー?」


唇を尖らせる大地。


「そうだな、結のせいだ」


「なっ!?」


「結先輩、俺もだいぶ腹減ったんすけど」


「……疾風ぇ」


「すいません」


「分かればいいんだ、分かれ──ん?」


異音が聞こえたような気がして、風雅は言葉を切った。

音が聞こえた方を見ると、クスクスと笑いを噛み殺す露李の姿があった。

正体に気づいた守護者たちも目を丸くして露李を見る。


「あ、ごめんなさい」


視線に気づいて姿勢を正す。


「いや、別にいいよ?」


すぐに消えた笑顔を名残惜しいと思いながら大地が笑った。

気配に鋭い彼らはとうに気がついていたのだ。

露李が常に浮かべる柔和な笑顔は感情表現のそれではなく、育ちの良さから出た礼儀作法そのものの笑顔だ。

感情の色が薄く、どこか吸い込まれるような、諦めに似た闇を宿した瞳──しかし無垢な瞳をしていた。

だからこそ警戒心を最後まで緩めなかった朱雀だが、つい目を奪われた。


「ちゃんと笑えるんだな」


風雅が安心したかのように呟く。 


「え…?」


不思議そうに首を傾げる。


「何のことですか?」


「いーや、別に何もねーよ。さぁ飯食うぞー!」


その言葉で皆が席についた。

いただきます、と挨拶してから箸を手に取り、口へ運ぶ。


「お口に合いましたでしょうか」


海松が露李の横から尋ねた。


「すごく美味しいよ。なんか、」


そこから先が出ない。

お母さんのご飯みたいな、温かい感じ。

そう、言いたかったのに。



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