アタシはイレモノ
川上君が亜耶の事が好きでも、あたしは川上君に嫌われたくない。


そんな気持ちが先に立ってしまう。


「そうだよね。でも友達が亡くなったら辛いしなぁ」


うん。


確かにつらいだろう。


だけど川上君に泣きつく理由にはならない。


あたしは小さく息を吐き出して席を立った。


川上君と会話できることは嬉しいけれど、その分自分の中にため込んでしまうものがあるから、少し疲れてしまった。


「トイレに行ってくるね」


そう言い教室を出る。


特にトイレに行きたいわけじゃなかったけれど、そのまま近くの女子トイレに入った。


個室に鍵をかけて腰をおろす。


スカートのポケットからスマホを取り出し、サイトを眺める。


気持ちが落ち着いたら出よう。


そう思い、大好きなゲームを表示させる。


その時だった。


トイレの中に数人の女子が入って来る足音が聞こえて来た。

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