アタシはイレモノ
涙はもちろんウソ泣き。


ケンジ君とは仲がよかったけれど、思い出して泣くほどじゃない。


こっそり目薬を用意していたのだと、栞理は言った。


みんながトイレから出て行った後も、あたしはその場から動く事ができなかった。


トイレの中で何度も何度も栞理の言葉を思い出す。


人の誘いは壊して置いて、自分は今日川上君と出かけるつもりなのだ。


少しでも、一瞬でも栞理はいい子だと思っていた自分が恥ずかしくなった。


栞理はただ邪魔になるあたしを1人、手の内におさめておきたかっただけなのかもしれない。


仲間になれば、中心人物である栞理の言葉に逆らえにくくなるから……。


あたしは悔しい気持ちを押し込めてスマホを見つめた。


まさかと思い、ラインを確認する。


すると栞理に誘われたライングループからグロックされているのがわかった。


悔しさと情けなさで、唇をかみしめる。


まんまとやられてしまった……。


今、このグループの中であたしの悪口が書かれているのかもしれないと思うと、どこかへ逃げてしまいたい気持ちになったのだった。
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