〜はどちらを選ぶだろう・・・あなたはどちらを選ぶ!?
『死後』
私の名はイノ。



かつては槍の使い手だった・・・

だったとは、もうすでに

死んでしまったから。





・・・気付くとそこは

城の入り口だった。


「イノ!!」

私を呼ぶ声が聞こえた。

声のする方へ、城の中へと

入っていった。

すると目の前に、

私の信仰する神"ブラゴレ"が

立っていた!

「おお!ブラゴレ様!!」

感動して駆け寄ろうとしたが・・・

「そこでひざまずけ!」

私は神ブラゴレの

言われるままに

そこでひざまずき、

話を聞いた。



「ここでお前に裁きを下す!」



何のことだか分からなかった。

しかしこれは、

大変なことだと気付いた。

「生前お前は、

数多くの命を奪った!

実に400体以上!!

ここ最近では

トップクラスの外道だ!!!」




私は戦士として、

人々の平和のため

数多くのモンスターを

討伐してきた。

計算したら

このくらいの数になるのだろう。

しかしそれは

全て、平和のため。

無益な殺戮は

一度もしたことはない!

「命に上下はない。

虫でも、人間でも、

モンスターでも。

お前が勝手に

上下をつけているだけだ!

見ろ、隣のマヌケンを。

かつてはお前の部下として、

共に戦っていたな。

"弱虫"と

呼ばれていたが、

一体のモンスターも

殺したことはない。

逆にケガをしている

モンスターを助けたことで、

お前に殺されて

ここにいるのだ!!」



横を見ると

本当にマヌケンがいた!

私が罰として処刑した

"弱虫"が・・・



「今回は特別に

"生き物"としての上下を、

神である私がつけてやろう!

生前とは違い

お前はマヌケンの

下になるのだ!!」



するとマヌケンは

握手をもとめてきた。

私もそれにこたえるように

握手をした・・・

しかしマヌケンは

微笑みながらつぶやいた。

「これからはヨロシク・・・」

その握った手の力に

私は驚いた!

槍でも筋力でも

負けたことのなかった

マヌケンの力に・・・

「マヌケンが強いのではない!

ここでは、

生前の犯した罪によって

力が引かれるのだ!

お前は400以上分の力を

引かれたのだ!!」

マヌケンの顔から

微笑みが消え、

凍るような冷たい視線が

突き刺さってきた。

「これが

最初で最後のチャンスだ!!」

その視線に耐えられず、

思わず目を閉じてしまった。





再び目を開けるとそこは・・・

私がマヌケンを処刑しようと、

槍を振りかざしている

ところだった!



記憶だとこの後、

マヌケンを殺し、また

モンスター退治へと

出発する。そこでまた

10体近くのモンスターを

仕留めることに。

その帰り道、

崖から落ちてきた岩に

押し潰されて助けを呼ぶが・・・

そこで気を失い・・・

さっきの城のところへ・・・。

そう、

マヌケンを殺していなければ、

いっしょにモンスター退治に・・・

岩に押し潰さたときに

助けてくれていたかも・・・

戦闘中のモンスターを

助けることは

重大なる犯罪行為・・・しかし

命には上下はないのか・・・




イノは

どちらを選ぶのだろう・・・

あなたはどちらを選ぶ!?




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