君に届かない。
"君は誰?"


彼は確かにそう言った。そして、恐ろしく察しの良い泉は、奇しくもその意味を一瞬で察知した。




『なんと、日野先輩からいずみにラブレターだよ!!』

"先輩"から言付かった"同学年"の彼女。学年に浸透している暗黙の了解。



『" 好きです。OKなら明日の放課後体育館裏まで来て下さい。』

宛名のないラブレター。




「ねえ、君は"和泉葵さん"を知ってる?この辺りで見なかった……かな」




彼が告白した相手は、蒼井泉じゃない。



和泉葵だ。
< 8 / 16 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop