黄昏を往く君は

 青年が近づいてきて、水筒を私に渡してきた。
 私はそれを受け取ろうとしたが、手に力が入らず取り落とした。
 青年がわざとらしくため息を吐いた。水筒を拾い、その中身を口に含んだ。
 なにかと思って見ていると、青年が私のそばまで来て、私の頭を両手で掴み、身体を屈めた。
 視界が暗くなる。こめかみを触る指がひどく優しい。
 触れた柔らかい唇から漏れ出した水が私の唇を濡らした。
 私は口をわずかに開き、水を求めた。
 ぬくい水が喉をすべって、私の全身に染み渡っていく。



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