黄昏を往く君は


「どんな夢を見ていたんだ?」
 碧が、まるで先ほどのやり取りがなかったかのような気安さで、にやりと笑った。
 私は彼の唇から無理やり視線を外し、髪をかき上げた。
「……くだらない夢」
「えー、気になるんだけど」
 碧はけらけらと笑った。
 私は彼の軽薄な笑みに不自然さを抱いた。
 私は彼の問いに答えることはなく、会話が途切れた。
 私たちはしばらく黙っていた。
「せっかくだからさ、俺の話をして良い?」
 碧が云った。
 私はなにも云わずに頷いた。

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