黄昏を往く君は
洞穴の外、林の中、ひらけた草地。燃えるような黄昏。
碧は耳に大型の無線機を当てていた。何者かと話している。
通話が終わると、私を振り返った。
「なぜ俺が君を助けたのか、君はさぞや不思議だったのではないかと思う」
碧は微笑を浮かべている。
「君が、懺悔しているように見えたからだ。我が同胞に。我が兄弟に。泣いて詫びているように思えた。だから、助けた」
「理解ができない」
私は吐き捨てるように云った。
碧は頷いた。
「そうだろうさ。君は骨の髄から軍人だ。君は自分のことを非国民だと云ったが、それは違う。君は立派な青の国の国民だ、それも模範的な、祖国のためなら命を投げ打つことすらためらわない、理想の人間だ。独裁者にとってはね。だから――けれど、と云った方が良いのか、俺は君がそんな人間になってしまったことを残念に思うよ」