黄昏を往く君は


「そんなもので、どうするつもりだ?」
 碧が訊く。
「私は、あなたが私を殺すことを望んでいる」
 私は答える。
「それはできないよ。君は生きるべきだ。この愚かな戦争の証人として」
「私はもう生きたくない。もうごめんなんだ、こんな世界は。私を人として生かしてくれない、人を人として生かしてくれない、最悪な世界」
 碧が微笑んだ。哀しげな微笑だった。
「世界には絶望はないよ、ただ人が絶望しているだけだ」



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