brass band
 とはいえ、一人事のように頭をフル回転させていると、案外20分なんてあっという間に、学校に着いた。
『え、なんか、白じゃない?』
『臼ピンクだね』
 それだけ母は言うと、また黙りこけ受付へと向かった。
 まぁ、それ以外に返しようもないとは思うが。
……………………………………
 暫くして母は、受付を終え帰ってきた。
『こっからは別行動みたい。先輩方にしたがうのよ?』
『わかった』
 短く返事をして、受付の先にいる先輩に向かって歩き出した。
 先輩と言えば、小学校で吹奏楽部に初めて入った日を思い出すな。
 担当をしてくれた人が副部長さんで、後から付き人のように来たのが部長さん。
 あんな組み合わせを、2年生の時(入部直後)に対面なんかしたら、誰でも土下座することだろう。
 恐らく私だけではない。
『あ、えと』
『ご入学おめでとうございます。お名前とクラスを教えてください』
 あぁ、やっぱり先輩だけあって、雰囲気が違う。
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