brass band
 私は、あまり話す方ではない。
 いや、小学校を辿っていけば恐らくお喋り大好き女だったのだろう。
 しかし、四年生のあの時以来、誰を信頼すべきなのか、誰に本当のことを話せば良いのかわからなくなった。
 それから私は、あまり話すことをしなくなった。
 相変わらず母や父も、兄の肩ばかりをもっている。
 私になんて興味はないようだ。
 そんなに嫌気がさして、邪魔な存在なら、私なんて…。
『まだ着かんの?』
『んーあと20分くらいかな』
 ネガティブから抜けようと、母に声をかけたが辛い現実を突きつけられ、挙げ句に会話は終了。
 …なんだこれ。
 やっぱり愛されてない。
 というか何より…
『え!?遠くね!?』
 少なからず、家から出て歩いて、10分以上はたっていると思う。
 しかし後20分!?
 可笑しくないか。
 これを毎日繰り返すのか。
 慣れれば遠くないものなのだろうか。
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