brass band
まだ、これから後数十分あるくので、すでに体力などない。
足がもげてしまいそうだ。
『そうだ咲花ちゃん』
『んー?』
暑っ苦しい空気にやられている私は、返事すらも生暖かいものになってしまっている。
『体育祭、いつだか知ってる?』
『…………シリタクナイ』
文化部にとっては最悪な行事。
体育祭☆
『咲花ちゃんは今年もリレーかな』
『んー、というかさ、向日葵の仲間って三クラスじゃん?縦割りとかないよね』
多分、毎年やっていたのとは違う体育祭になるんだと思う。
『あー確かにね。どうするんだろ?』
『なくなるんじゃないのかな?』
納得だな。
っと下さらない話をしているうちに、ようやく校門が見えてきた。
いつもの音が聞こえない。
あぁ、そうか。
『これが……引退か』
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