0の可能性

うろ覚えだけど、確かに覚えてる。



『起きて、ゆかり』


『帰ろう、ゆかり』



バーでそう言った九条さんを。

“ゆかり”確かに私の名を呼ぶ九条さんの声が、耳に焼きついて、残っている。

さっきの、楽しそうだけど何処か寂しそうな表情が、私の中の何かをキツく締める。


よくわからない苦しさが何なのか、ゆかりは知ろうとしないで、明日という休日に楽しみを探した。

***


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