EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ

来訪者は白魔だった。

気持ちを落ち着かせ、小鳥は無難な会話を始める。

「あの、こんな時間に、何かありましたか?」

「うん。ちょっと……君に渡したいものがあってね。持ってきたんだよ」

何だろうと思い首を傾げれば、彼が差し出してきたのは一輪の赤い薔薇。

「薔薇…?」

小鳥が素直に受け取ると。


――ふわり


香りが舞った。

肌に纏わり付くようなそれには覚えがある。


(この香り…!あの時の!)


フェオドールが持っていた赤薔薇。

香りを嗅いだら目の前の相手に恋をしてしまうあれだ。


(なんで、白魔さんがこれを…!?)


気づいた小鳥は赤薔薇を床に投げ捨てた。

「ああ、酷いな小鳥。僕からの贈り物を投げ捨てるなんて」

妖艶に微笑みながら白魔は床に落ちたそれを拾う。

「さあ、ちゃんと嗅ぐんだよ」

「や…!やめっ…」

抵抗するも、白魔にガッチリと腰を抱かれて逃げられない。

顔に近づけられ、小鳥は脳が侵されていく感覚を再び味わった。


(だ、め…!頭が…ボーッと……)


意識が混濁しそうになり、息を止める。

正気でいたければ香りを嗅がなければいいのだ。


(これで、少しの間は大丈夫…!)



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