精一杯の背伸びを




「わかってる。広君にも同じこと言われた。私の身勝手さで榊田君を傷つけた。ちゃんと明日謝るから。許してくれなくても謝るから」



 声がかすれた。



「わかってるならそれで良い。別に謝る必要はないし。理由はどうあれ、女に手あげるなんて最低よ」



 ふん、と朔ちゃんはそっぽを向く。



「とにかく榊田君とはしっかり話したほうが良いよ。私たちには言えなくても榊田君に話せることあるでしょ?小春ちゃんが元気ない理由知ってるみたいだった」



 仁くんのことを話しているのは榊田君だけ。


 私がこんなにも落ち込む原因は仁くんしかないと彼は知っている。



「何も聞かないんだ?」



 今はまだ話したくない。


 きっと私と榊田君が付き合ってないことも気づいたはずだ。



「あんた話すつもりないでしょ?榊田が相談相手っていうのはかなりの人選ミスだと思うけど」



 眉を寄せる朔ちゃんに私は笑った。



「そんなことないよ。榊田君の言葉には何かしらの意味が絶対含まれてるからね」



 最後には、いつもの通り私が榊田君を弁護していた。






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