精一杯の背伸びを






「小春さんが仁に私がふさわしくないと思うのは当然です。だけど、私は彼を、仁を愛しています。だから、あなたに譲ることはできません。それだけは絶対にできません」




 絶対に、そうもう一度言う。


 私の瞳は揺らいだ。


 彼女は私をまっすぐ見ている。


 まっすぐ。


 ドキッとした。


 彼女の瞳に映る自分に。


 堪らず、目を逸らし俯く。




「あなたが悪いわけじゃない。理屈ではわかっています。だけど私はあなたが憎い。だから仲良くなることは無理です。ごめんなさい」




 理屈で割り切れることじゃない。


 俯いたまま、拳を強く握り締めた。




「私も、小春さんが目障りだから、お相子です」




 彼女は眉を下げながら、きっぱりと言った。


 目障り?


 私は瞬きをした。




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