精一杯の背伸びを
「小春ちゃん」
「広君!やっぱり気づいてた?」
「もちろん小春ちゃんを見逃すわけないだろ。バイトだよね?一緒に行こう」
「風邪は治った」とか、「さっきのは彼女?」なんて世間話をした。
そして、昨日がクリスマスだったことに今更気づいた。
「クリスマスに風邪引いたのは残念だったね」
そう言われて、昨日だったの?と言いそうになって慌てて口を噤む。
「うん。残念」
私は苦笑しながら言った。
話していたからか、そう待たずに電車がホームに入ってきた。
どっと人が降りてくる。
座ることはできなかったが車内は空いていた。
「何かあったの?」
広君に言われて、ぎょっとする。
顔に出ているのだろうか?
いつもと違うだろうか?
「何で?」
笑顔で返したが、内心はヒヤヒヤしていた。
「小春ちゃんって、人ごみ苦手だろ?なのに一人で買い物しに来たって言うから」
鋭い。
女心が良くわかっている。
私が単純なだけ?
「友達の誕生日プレゼント買いに」
広君が持ってくれている紙袋を指差す。