精一杯の背伸びを




「何?すご~く興味あるんですけど。榊田さん」



 私は、目を輝かせ榊田君の顔を覗き込んだ。


 鬱陶しそうに手で追い払われる。



「確かに、好奇心もあるけど。榊田君の役に立ちたいなって、思ってるんだよ?」



「誰も恋愛成就なんて言ってない。女難の相には厄払いか」



 女難の相?


 何だ、驚いた。



「厄払いしても無駄。無意味。効果なし」



 私はまったく取り合わず、手を横に振った。


 馬鹿馬鹿しい。



「お前の恋愛成就の祈願と一緒だな」



 ぼそっと榊田君は言う。



「しっかり聞こえてるんですけど!」



 私は榊田君のマフラーを両手で思いっきり引っ張った。



 榊田君はヒキガエルのような声をあげた。



 自業自得だ。




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