精一杯の背伸びを



 テストが一つ、また一つ終わっていくたびに、仁くんにどんな顔して会えば良いのだろう?


 最初は何を言うべきだろう?


 そう考えては臆病になる私がいた。


 でもその一方で。


 早く仁くんに会いたい。


 そう思う私がいて。


 会いたい気持ちが勝っていて。


 昔だって何だかんだ考えて結局は答えが見つかる前に会いたくなって彼の元に行った。


 一端会ってしまうと、もういつもの二人だった。


 いつもの温かで穏やかな時間があった。


 きっと、今も変わらない。















 そうは言っても緊張してしまう。


 エレベーターで十階にたどり着くと、壁にもたれかかり、深呼吸をした。


 初めてこのマンションに訪れた時と同じことをしている自分に思わず苦笑してしまう。

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