恋が都合よく落ちてるわけない

反撃

「ねぇ、落合君、会社のお金ごまかしたかったら、まず何する？」

「はあ？俺、悪いのは見た目だけですよ。それ、横領じゃないですか？」

「だから、例えばだって」

「あのね、金がほしいなら、働く。下田課長の仕事と、俺の仕事全部やって、死ぬ気で頑張れ。悪いこと考える前に」

「ふ～ん、以外と、真面目なんだね」

「まあ、
見かけと違って言いたいんだろ？」

「違うなんて思ってないよ。落合君、つまんないほど真面目だし」

落合君が、目を大きくした。

「えっ？俺、真面目キャラ設定？こんなに外見いじってんのに？」


「残念!! バレてます」


「ええっ！！ちょっと、
それ軽くショック何ですけど」


「そんなこと、どうでもいいから、
ちょっと、誤魔化す方法、
真面目に考えてよ」


「無理っす。俺、ごまかすなら働いた方がましてすから」


「落合君でも、そうだよね」





西川さんもそうだと思ってた。

彼は、数字ばかり規則正しく並んだ書類をいつも真剣に見ていた。

「数字ばっかりなのに、よく合ってるのか、間違ってるのかわかるね」

「あはは、こればっかりずっとやってるからね。万一千鶴ちゃんが十円ごまかしても、僕が見つけるよ」

「えっ。こんなに何千万もお金があるのに？たった十円を見つけられるの？」

「君は面白いこと言うね」

「でも、西川さんみたいな旦那さんだったら、家計簿見せられない」

「じゃあ、こう考えればいいでしょう？お金の心配は、僕が全部引き受けますから、あなたは、毎日の家のことを考えていればいい」


私は、まだこの場所にいたい。
それが叶うなら。


何が本当なんだろう。
いくら考えてもわからない。


もう、泣くのはやめよう