恋が都合よく落ちてるわけない
「あのさあ、あんたも俺も、
簿記とか経理なんか
分かんないんだよね?」


落合君は、椅子の背もたれに寄りかかって、あくびをする。


「まあ、そうだけど」


「じゃあ、
そんなの考えるだけ無駄じゃん」


「あのね、考えれば、
世の中何とかなるのよ」


とは、言うものの
勝手に走り出しただけで、見通しも立たない。八方塞がりだ。
情けない。仁志さんにあれだけ強く言ったのに。



「須田に任せて、
方がついたら話を聞けば」
だから、仁志さんには、いいたくないの。


「見かけ倒しだね。落合君、
そんな外見してるわりには。
あんたは、反骨精神のかけらもないの?」
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