恋が都合よく落ちてるわけない
落合君と二人で出かけるのは、初めてだった。以外なことに。

私達は、会社の近くのイタリアンレストランに入って、カップルセットなどを頼んだ。

「こういうの、野郎同士じゃ頼めないから…」と落合君が、言い出した。

「可愛い、女の子連れて来れば
いいじゃない。声かければいくらでも相手なんかいるじゃない」

「そんなことしたら、誤解すんだろ」

「誤解されてもいい子を選ぶんじゃないの、わかってないな」
落合君は、顔を上げた。


「わかってないのは、あんただよ。まあいいや。そのうちな。
それより、あんたさ、
須田とはどうなってんの?」
もう、本当にどっちが先輩だか分からない。


「須田さん?別に」
落合君にも、
前と違うって気づかれてたんだ。


「会ってないんだ」
落合君が、にらみつける。
そして不気味に笑う。


「忙しいから」


「忙しくたって、
会いたきゃ会いに行くだろう」



「落合君は、そうなんだ。彼女に会いたい、って言われたら、飛んでくんだ」


「今だって、そうしてるだろ?」


「そうなの?いつそんなことあったの」


落合君は、イラつきながら言った。
「あいつに相手にしてもらって
ないんだろ?」


「あいつって、須田さんのこと?
須田さんが、
相手にしてくれないんじゃなくて、

私が過去の事で、
踏ん切りがついてないから、須田さんに向き合えないの」

すんなり口にでて、驚いた。私は、そんな風に考えてたんだ。



「そんで、あいつ黙って見てるんだ」


「落合君て、須田さんに対して、
随分敵対心持ってるんだね」


「気づかなかった?」


「気付いてたよ。
落合君にとって須田さんや岡崎さんは
兄弟みたいってだなって思ってたもの」


「違う!兄弟みたいだから張り合ってたんじゃない。だから俺、譲らないよ」

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