恋が都合よく落ちてるわけない
その日は、朝からそわそわしていた。

工事の打合せと言って、
岡崎さんが、

私達の周りをうろうろしているから、
課長が気づいたらどうしようと
ハラハラしていた。


もし、課長にバレたら課長は、
今回は見逃してやろうなんて
気持ちになることはない。

下田課長は、空気を読んだりしないから、必要以上に厳しくならないかわりに、
こういう場合も、規定通りだ。



「夜に備えて仮眠しとくか」
と落合君があくびをしながら言う。


「こら、課長に聞こえたらどうするの?」


「聞こえないよ、あんな丸っこい耳じゃ」


「形は関係ないでしょ」


私達は、一旦帰るふりをして、
課長が帰ってから、
またオフィスに来ることにした。


下田課長は、部下が残っていると、
絶対と言っていいほど、
部下より先に帰らない。


「どこかで食事でもしてましょう」
と落合君。


「そうね。そうしようか」
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