恋が都合よく落ちてるわけない
最近の実加は、私の顔を見れば、
すぐに須田さんのことを聞く。


「それで?どうなったの?」


「犯人探しのこと?」
私は、振り返って実加の方を見た。

「違うよ。ナイトのこと」


「フロア中、
引き連れて挨拶したじゃない」
実加はため息を付いて言う。


「挨拶の時、千鶴の肩だいて、周りの女の子みんなため息ついてたじゃない」

肩を抱いたら、その男のものってこと?
本当に?
じゃあ、ちゃんと拒絶すればよかった。


そういう意味で、
あんなことしてるのかな…

そうは思えないけど。
だいたい、私のことからかうだけで、好きとかそういうのとは、違う気がする。

だとしたら、

「そんなの単なる虫除けだよ。
あいつムダにスペックがいいから、
女の子避けに私を使ってるだけ」

須田さんからすれば、
こんなもんじゃないかな…

「ふーん」


「じゃあ、千鶴は
須田さんのことどうでもいいんだ」

どうでもいい?


「感謝してるよ。
私の為にいろいろしてもらって」



「だったら協力してよ。
須田さん、千鶴が呼び出すと
来てくれるんじゃない?」


「協力って何よ」


「合コン呼び掛けたら、
すごい数集まりそうなんだよね。
ほら、須田さんのお友だちの人、
岡崎さんも入れると」


「何たくらんでるの」
実加は、本気で考えてるの?
会社の女の子たち?
う~ん。須田さん来るかな。


「飲み食いに多少色をつけれは、
幹事の飲み代くらい出るよ」
実加ったら…

「私は、そんな安い理由で
彼らを売るようなことはしません」
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