恋が都合よく落ちてるわけない
「お話しはそれだけですか?」
相手は、拍子抜けしたみたいに
力を落とした。

「あら、彼があなたのことか好きだったって聞けば喜ぶと思ったのに」


「見かけと違って、私、それほど単純じゃないんです」


「まあ、やっぱり、ユーモアのセンスがあるって、誉めてたわ。彼。
ちょっと待って。探してるものがあるの。だから、それを探したいんだけど」


「探すなら、お一人でどうぞ」

陽子さんがにたっと笑う。

「探したいのは、あなたの部屋なの。
私一人で探していいの?」



「嫌です」


「あの人、あなたの部屋で作業してたの」



「私は、知りません」



「お願い、
もうどうしたらいいのかわからないの」
陽子さんは、両手で顔を覆った。
小さな子がよくやるように。



「西川さん、自分からいなくなったんじゃないですか?」



「それはないと思う。
私、妊娠してるから」

なんてこと!

この人、軽く爆弾投げてきた。

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