~Still~

1ヶ月の恋人

「よかったな、颯太!!」

朝、市場での仕入れを終え、『旬彩・響』で仕込みを一段落させた響は、颯太のショットバーでコロナビールを傾けて笑った。

カウンター越しに、颯太が照れ臭そうに笑う。

「いやしかし、お前と店に来たエレナさんを見た時、ビックリしたぜ。六年前とまるで変わらない彼女の美しさと、お前の『です・ます』口調!」

颯太は軽く響を睨んだ。

「あれから6年だぞ?ガキじゃあるまいし、出逢ったばっかでタメ語で話せるかよ。進歩してないって思われたくねーんだよ」

「抱いてる時も敬語なわけ?お前は」

「うるせー」

……抱いてるときは…そのままの俺を感じて欲しかったから…エレナと呼び捨てにしたし、敬語じゃなかった。

「しかし彼女、案外真面目というか、純粋なんだよな、恋愛に対して」
< 142 / 351 >

この作品をシェア

pagetop