~Still~
颯太に腕を掴まれたエレナは、彼を見上げると、慌てて逆に颯太の手を掴んで狭い路地に引きずり込んだ。

「バカね!」

そう言って密接した颯太を見上げて、呆れたように口を開いた。

「テレビクルーがいたでしょ?あなた、私といるとこ、撮られるわよ?!」

は?

颯太は唇を引き結んだままエレナを見下ろし、エレナは、真剣な眼差しで颯太の瞳を覗き込んだ。

互いに暫く見つめ合っていたが、

「フッ!」

「なんで笑うの?!」

颯太は笑いながらエレナの体を押して路地から出た。

「僕は、芸能人じゃない」
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