~Still~
白人から見れば、エレナはアジア人なのだ。

だからこそ、それを逆手にとって、歯を食い縛って頑張ってきた。

正直、恋をしている時間はなかった。

一度だけいた恋人は、エレナよりも二歳年下の白人男性だったが、甘えたがりで寂しがり屋だった彼は、初めて端役を貰ったと告げたその日に姿を消した。

恐ろしい仕打ちと、エレナが必死で働いて稼いできた5千ドルを持って。

エレナは、その恋人を愛していた。

次の恋に進んで忘れるなど、到底出来なかった。

だからあの時の別れは、エレナの心を深くえぐったままである。

エレナは、こちらを向いて柔らかく微笑む颯太を見つめた。

「エレナさん?」
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