俺たちの妹・2
「…ぃ……みぃ……」

遠くで誰かが名前を呼ぶ声が聞こえた。

ゆっくり目を開けると、目の前に葵が居た。

「…?あ、おい?」


周りを見渡すと、いつの間にかいつもの病室に移動してる……

「今日の検診が気になって来てみたら、ベッドでぐったりしてて驚いたよ。
あ、頭痛の薬起きたら飲んでって」

そう言って、薬と水を手渡してくれた。



コクン……

「頭痛だけ?」

「怠さと、目眩と…ケホ…咳も……」


あ、咳、出てきちゃった……


ケホケホッ

「みぃ、体起こすね」

葵は、焦ることなく対応してくれる。


ケホケホッ……

少し咳き込んでしまった。

「みぃ、吸入持ってる?」

「か、ばん」

「………あったあった」

そう言いながら葵は、吸入を口元に当ててくれた。


スー……ハー……

発作にはならなかったからすぐに治って良かった。


「司さん、なんて言ってるの?」

「疲れから来てると思うって。
後この前のが、ぶり返してるかも知れないって。また当分安静生活なのかな……」


思わずため息が溢れた。


「俺、今年はまだゆっくり出来るみたいだからみぃとのんびり過ごそうかな」

葵は、私の頭を撫でながら言葉を紡いでくれた。

「でも、葵もお友達と遊んだりするでしょ?私に合わせなくていいよ?」

「ん?俺が遊ぶ友達は、悠斗と楓くらいだから、そんなにないよ。でも、出かける時は行くから気にしないで?」

「……………分かった。勉強する時も邪魔にならないようにするから」

「大丈夫だよ。みぃが側に居る方が捗るしね」

「そうなの?」

「そうなの」

葵の言葉に驚いた。
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