俺たちの妹・2
でも薬?

そんなの苦しくなるんじゃ……

「嫌だと思うけど、塗らないと熱がなかなか下がらないよ?」

「………点滴してもダメ?」

「点滴する?家では嫌がってたからしないつもりだったよ。それなら大丈夫だよ」

そう言って、司は器具を直してくれた。



良かった。

点滴も嫌だけど、喉に薬ぬられる方がもっと嫌だから……



でもホッとしたのも束の間。


司は着々と点滴の準備を始めた。





「………点滴すぐするの?」

思わず司に聞いてしまった。

「ん ?そうだよ。その方がすぐに楽になるしね」

司は準備する手を止めてくれない。


私はだんだん怖くなってきて、目を閉じた。







「桜?そろそろ始めるよ?」




そう言って私の腕をそっと持ち上げた司。

いつもは声を掛けてから診察してくれる司の言葉が、今は恐怖を増す対象でしかない。

ヒヤッと腕に消毒が触れた。


途端に身体が固まる………


やっぱり怖いよ………







「桜はさ〜、次のデートどこ行きたい?」

「え?」

まさかの話題に驚いて目を開けた。


「ん?嫌な事考えるより、楽しい事考えてたらすぐに終わるから」

にっこり笑いながらそう言う司は、私が点滴を怖がってる事を分かってくれてるんだ………




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