俺たちの妹・2
「…………から」

「ん?」

「…………昨日から」

「そっか……とりあえず今は横になって体を休めてあげよう?」



葵は私に対してあまり怒らない。

きっと今だって言いたいことがあった筈なのに、言われなかった。


それが葵の優しさなんだけど、今日はなんだかそれを受け入れられない。


どうしてだろう……


そんな思いを巡らせていると、私をベッドに横たわらせた葵はすぐさま部屋から出て行った。


葵もきっと忙しい筈なのに、私なんかで時間潰してしまうのは可哀想だな……


一度そう思ってしまうと、葵を解放してあげたいという気持ちに支配された。


葵には自由に自分の時間を使って欲しい。

かな兄やひな兄は、私が”妹”というだけで、束縛されているし……


葵にはそうなって欲しくないのが本音。


それを言ったら葵は悲しむだろうけど……









「みぃ、体温だけでも測ろうか」


部屋を出て行った葵が戻ってきた手には、看病セット一式があった。



枕元にそれを置いて、体温計を手渡してきた葵。


葵をじっと見ていると


「ん?確認の為だよ」

そう言って、体温計を滑り込ませてきた。

「葵………」

「どした?」


「せっかく来てくれたけど、やっぱり帰っていいよ」

「…………この状態で俺が帰ると思う?」
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