俺たちの妹・2
「う〜ん……でもやっぱり兆候出てるのにほっとけない……今日は家でできる仕事に切り替えるよ」

「ほんと心配性なんだから……」

彩さんは呆れてる





でも、兄貴のこの判断が正しかったと分かるのはもう少し先……



病院に彩さんがやって来たのは、その日の夜だった。

俺はそろそろ帰ろうと準備をしていたら、兄貴から今から病院へ行くと連絡があったんだ。

美晴も一緒に来るとの事だったので、病院で待っている事にした。


兄貴に支えられながらやって来た彩さんは、お腹を痛そうに抱えていた。

美晴は少し後ろで荷物を持って心配そうに彩さんを見ていた。

「兄貴っ‼︎」

「日向、陣痛が始まってるんだ。それよりみぃ、ちょっと不安がってるから様子見てて」

そう言い残して、産婦人科へ向かった。

不安がる?


不思議に思いながら美晴に近づいた。

「ひな兄………彩さん、辛そうだった……大丈夫かな」


「大丈夫だよ。美晴もビックリしたんだね。荷物、持つよ」

そういって、美晴から荷物を受け取った。

少し、顔色が悪いかな……

「美晴?どこか辛い?」

俺の言葉にハッとした美晴は、

「ううん、大丈夫。彩さんが心配で……」

「美晴、大丈夫だよ。彩さん辛そうだけど、今から赤ちゃんを産むために頑張らなきゃならない時なんだよ」

「………そうだよね。私がちょっと怖気付いちゃって」

「ふふ、みぃは出産する所見た事ないもんな」

「え?ひな兄はあるの?」

「俺と兄貴は美晴が生まれてくる時にね、一緒に立ち会ったんだよ」

俺の言葉を聞いて、美晴は目を見開いた。

そう、俺と兄貴は出産を経験する事は一生なくても、既に立ち会った事があったんだ……
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