俺たちの妹・2
暫く処置室の窓を見つめていると…

「「葵」」

誰かに呼ばれて振り返ると、かな兄と兄貴がいた。

「みぃを連れてきてくれたんだろ?ありがとな」

かな兄は、俺の頭をポンポンっとした。

「ちょうど家に帰ってる途中で日向から連絡あってさ、そのまま病院に来たんだ」

兄貴も俺の頭を撫でてくれた。

不安だった心が一気に安心感に包まれた。

「発作起こしてるみぃを1人で連れてきてくれて、不安だったろ…大丈夫だからな」

かな兄は、俺の心情を察している様だった。

「俺……一緒に居たのに何も…出来なくて…」

悔し涙が溢れてきた……

「連れてきてくれただけで十分だよ」


「っっく……早く……早く医者になりたいっ」

「その気持ちがあれば、大丈夫だ」

兄貴は俺の頭をポンっと叩いた。



兄貴とかな兄が来てくれた事によって、無力さに陥っていた心が落ち着いた。


「医学生になったからって、まだ研修医じゃないしな、出来る事は限られてる。今やれる事をやるだけで十分なんだよ、葵」

かな兄の言葉は、俺を安心させてくれた。


「さ、葵も落ち着いた事だし、うちの可愛い妹の様子、聞きに行ってくるよ」

かな兄は、躊躇なく処置室へ入っていった。

「葵……お前は大人に揉まれる事が多いからな、無力に感じる事もあるだろうけど、同年代の奴らと比べるとほんとよくやってるよ。大丈夫。俺や日向達も葵と同じ気持ちになっていた時期があるんだから。みんな通る道だ」


「兄貴、ありがとう」


兄貴の言葉は本当に嬉しかった。
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