俺様社長の飼い猫

3.猫を独占したい

…悪夢のような数日間が嘘だったような。

朝、目を覚ますと、温かい腕の温もりに、心が同じように温かさに包まれた。

目の前には、紫音の無防備な寝顔があった。無防備な筈なのに、その寝顔も綺麗だ。

「…ん」

紫音が少し身じろぎして、ゆっくりと目を開けた。…当然、目が合う。

「…おはよう」
「…おはよう、ございます」

私の言葉に、紫音はクスッと笑った。

そして、ギュッと抱き締めた。

…紫音に抱き締められるのが、本当に嬉しい。…安心する。…安らぐ。

紫音は、本当に不思議な人。

「…職場も同じだし、一緒にいくか？」
「…⁈」

紫音の言葉に驚きつつ、ブンブンと首を振った。

私の反応を見て、また笑う。
…遊ばれているような気がしてならず、少し怒った顔をして見せた。