午前0時の恋人契約
そしてバタバタとするうちに今日も1日の仕事を終え、いつも通り新宿で待ち合わせた貴人さんと電車に乗り……と、やってきたのは水道橋にある大きな遊園地。
大きなドームやビルなどが建つ東京の街のど真ん中にある、イルミネーションで飾られたジェットコースターや観覧車を見上げれば、自然と目はキラキラと輝く。
「わ……わぁぁ〜……すごい、夜の遊園地……!!」
感激に声を震わせ見上げたまま園内を歩く私に、貴人さんはおかしそうに笑いながら隣を歩く。
「明日のこと考えないで思い切り楽しめるほうがいいと思ってな。土曜までとっておいた」
「私夜に遊園地に来たの初めてです、すごーい……きれい」
「それだけいい反応して貰えればなにより」
土曜の夜ということもあり、それなりに人は多く、園内はがやがやとにぎやかだ。
まるで昼間のような明るさに、けれどどこか違う雰囲気に、全てが珍しく見えてついそこら中をキョロキョロと見渡してしまう。
「おい、迷子になるぞ」
「あっすみません!つい……」
「迷子になったら容赦なく園内放送で呼び出しかけるからな」
そ、それはいやだ……!
『都内からお越しの、市原すみれさん27歳が迷子になっておられます』とインフォメーションのお姉さんの綺麗な声で呼ばれるのを想像して、それはまずいと浮かれる気持ちを落ち着ける。
そんな私に貴人さんは笑みを浮かべたまま、そっと手を握った。
それは迷わないように、離れないように、つなぎとめてくれる大きな手。