キミノカケラ〜群青色の空と君と〜


「あの子の荷物から出て来たのよ。これはサチホさんが持っていた方がいいと思って。その方がシュウも喜ぶわ」



私はそのノートを受け取ると、軽くパラパラと捲った。
でも白い世界の時と同様に、中は真っ白だ。



「それじゃあ、私は片付けがあるからこれで」


「あっ!待って下さい」



行ってしまいそうだったお母さんを慌てて呼び止める。お母さんはきょとんとした表情で私を見据えた。



「私、謝りたくて……病室で偉そうなことを言ってしまったこと」



夢の中だったけど、あれは夢じゃない。
シュウが最後に会いに来てくれたんだ。

あの時シュウが言ったことは本物のシュウの想い。

あれが本当なら、私はご両親に酷いことを言った。

何もわかってなかったのは私の方だった。



「お二人は誰よりも、どうしたらシュウが助かるか悩んで考えて苦しんだはずなのに……」



一晩という短い時間で迫られた究極の選択。

管に繋がれ懸命に生きようとする愛する息子を前に、その命を繋ぐか見届けるか決めなければいけない。

それがどんなに酷なことか、私はわかってなかった。



「本当にすみませんでした」



深々と頭を下げる。


どんなに謝ったって言ってしまったことは無しには出来ないけれど、私は頭を下げ続けた。








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