千代紙の小鳥
 

 
「空―。お前最近何してんだよー?」

授業中にも関わらず四つ前の席から問いかけてくる友人を無視して、黒板に並ぶ数式を解く。

「そーらー!!!」

「沢!黙れ!!!」

間抜けな声の後に響いた怒声に、クラスメイト全員がくすくすと笑う。

これは、もう二年と数か月続く光景だ。

その怒声で机に突っ伏してしまった友人をちらりと確認した後、再び数式を解くために手を動かしていると。

ヴーッ、とポケットの中で携帯が一度振えた。

慣れた手つきで取り出すと、画面に表示されている文は。

『空―。お前最近何してんだよー?』

先程と一文字も変わらない疑問文。

『別に』

と返してやれば、前から「うそつけっ!!」と叫び声が。そしてその直後に。

「沢!いい加減にしろ!!!」と怒声が。

何度繰り返せば学習するのか。
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