ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「で、でも私、赤ちゃん抱っこしたことなくてっ!」


慌てて首をブンブンと横に振ると、大丈夫よ、とシレッと言われた。


「もう首は据わってるし、落っことさなきゃ大丈夫」

「で、でも……」

「それに……。萌も予行演習しておいた方がいいでしょ?」

「え?」


目を丸くした私を、和美先輩がちょっと意地悪な目で覗き込んで来る。
周りを囲んだ先輩達も、まあねえ、と微妙な声を上げた。


「確かに、この中で次に母親になるのは沢木さんだろうしね」

「はっ……」

「それに、相手はあの倉西響君なんでしょ? 私が育休明けで戻って来る頃は、萌が産休入ったりして」


クスクス笑う和美先輩の言葉に、ボッと顔が熱くなった。


「いや、まだ全然そんなことっ……!」

「またまた~。って言うか、実はもうハネムーンベビーがお腹にいるんじゃないの? ちゃんと生理来てる?」


他の先輩にも意味深な視線をお腹に向けられて、私は慌ててお腹を押さえた。


「ちゃ、ちゃんと来てますっ!!」

「あれ。意外と計画的だったか」

「でも実際、今、萌にも休まれたら、社内報チーム結構厳しいですよね~」


勝手な話題で盛り上がる先輩達から、私は顔を真っ赤にして俯いた。
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