ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
赤ちゃん連れの和美先輩の訪問を歓迎していても、さすがにオフィスで雑談って訳にもいかない。
私達は女ばかり数人でフロアの片隅の附室に移動した。


和美先輩の赤ちゃん、拓斗君はようやく泣き止んで、今はキャッキャッと愛らしい笑顔を振り巻いている。


「うわああ、可愛い~っ!」


覗き込むとパアッと開く笑顔。
指を差し出すと、紅葉みたいな小さな手がキュッと結ばれる。


赤ちゃんの天使力は、破壊力抜群だ。
いつもは厳しい先輩も、蕩けるような目で拓斗君を見つめている。
みんな、携帯片手に写真撮影大会にいそしむ。


私も人差し指を握られたまま、頬の筋肉を緩みっ放しにしてしまう。
そのまま軽く手を上下に振ると、拓斗君は更にご機嫌な笑い声を上げた。


「あら。萌に懐いたみたいね」

「和美さん、何ヵ月ですっけ?」


隣のグループの先輩が、拓斗君を覗き込みながら尋ねて来た。


「四ヵ月目に入ったとこ」

「じゃあ、まだまだ仕事復帰は先ですね~」

「そうね~。まだ半年以上先かな」


そんな会話を続けながら、和美先輩は私に視線を向けてフフッと笑った。


「萌、ちょっと抱っこしてあげて」


人差し指を握られたまま手を動かしてあやしていた私に、和美先輩がそう言った。
思わず、え!?と顔を上げる。
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