ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「ほら、響。萌ちゃんに笑われてるわよ。男ならシャキッとしなさい、シャキッと」

「……ほんと、うるせえな、お袋は」


そんなこと言いながらも、響さんはちゃんとご両親を大事にしてる。
そもそも私との結婚を考えてくれたのだって、以前から私がお義父様にお世話になっていたっていう縁のせいだ。


「それにしても……。お父さんも言ってたけど、本当に二人とも日焼けしてないわね。
せっかくビーチリゾートに行ったって言うのに、何してたの」


お義母様が首を傾げるけれど、響さんはシレッと肩を竦める。
そして、


「のんびりしてた」


ただそう呟いた。


「のんびりなんてこれから先いくらでも出来るのに。せっかくのハネムーンが勿体無いじゃない」


お義母様は呆れたようにそう言って、ねえ?と私に同意を求めながらシャンパンのボトルを少し傾けた。
ついグラスを手に取ろうとすると、横から響さんが腕を伸ばして私を制した。


「お袋、萌はここまで」

「あら、どうして? 萌ちゃんが運転する訳じゃないんだから、いいじゃない」


ボトルを持ったまま、お義母様がプウッと頬を膨らませた。
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