ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
どうしよう。一人で過ごす休日が、こんなに長く感じるなんて。


何かやること、と考えて、平日の夜に取りためた連ドラを観ていないことを思い出した。
ホッと息をつきながらリモコンでブルーレイレコーダーを操作する。


大きな画面に映し出されたのは、今人気の俳優が主演を務める法医学サスペンスで、響さんも興味を持っていたドラマだった。


緊迫したシーンが続いて、ドキドキしながら一時間観切った。
次回の予告まで確認した後、私はリモコンで電源を落として、なんとなく溜め息をついた。


身体を乗り出して、集中しながら観ていたつもりだったのに。
途中から、響さんと初めての『デート』で観た映画を思い出してしまって、ドラマの内容はほとんど頭に入らなかった。


時計の秒針の音だけが妙にはっきり聞こえるリビング。
私は床にペッタリと座り込んで、テーブルの上に右の頬を載せた。
そして、ぼんやりと響さんを想う。


一人でどこに行っちゃったんだろう。
ご飯の心配はいらないって言ってたから、夕飯には帰って来ないんだろうな。
そんな長い時間、響さんは一人で何をして過ごすんだろう。


自分に対して疑問形で尋ね掛けるような思考に、私はつい苦笑を漏らした。


こんな時、響さんが行きそうな場所なんかわからない。
いまだに好きな食べ物が何かも知らない私が。


そう、私は響さんを知らな過ぎる。
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