ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
響さんには『相手にするな』と言われたけれど。


「ここ、いい?」


満席状態の社食で、トレーを持って向かい側に立たれたら、嫌とも言えない。


「ど、どうぞ……」


愛想笑いを浮かべてそう答えると、サンキュ、と短い一言を呟いて、私の真向かいに清水さんがドスッと座った。


これはもうさっさと食べて席を立つより他ない。
私は箸を動かすペースを上げて、手をつけたばかりの定食を片付けることに専念する。


「ねえ」


だから、私に掛けられただろう言葉も一度目は無視した。
それでも、軽く身を乗り出して再び声を掛けられたら、無視し続ける訳にもいかない。


「……なんでしょう、清水さん」


渋々返事をして顔を上げると、清水さんは箸も持たずにテーブルに頬杖をついて私をジッと見つめていた。


「挨拶は?」

「……こんにちは、清水さん」

「そうじゃないだろうが」

「……響さんがいつもお世話になってます」

「うちの主人、とは言えないか」


私の反応を面白そうに笑って肩を揺する清水さんに、私は黙って肩を竦めた。


「相手にするなって言われたんです。悪趣味な男だからって」

「うわ、酷っ……。でもそっか。昨日は確かに失礼しました」


ペコッと頭を下げる姿を見て、私もなんとなく手を止める。
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