ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「……ねえ、昨日のアレ、どういう意味?」


今度は違う質問が向けられて、私は顔を上げた。


「アレ?」

「お互い様って言ったろ?」


清水さんの言葉に、私は箸を止める。
そして昨日の会話を思い起こした。


「君は倉西に騙されてないって言ったけど……。
お互い様ってどういう意味だろうって、すごく気になってね」

「……それは……」

「倉西が君のこと本気で好きじゃなくても、それは君も一緒だからって意味じゃないの?」


はっきりと的を得た質問が、グサッと心に突き刺さる。
誤魔化そうとしたけど、この人を誤魔化し通すのは私には至難の業だった。


「……私は、響さんのこと好きですよ」


その言葉に嘘はない。


当たり障りのない私の答えがつまらなかったのか、清水さんは不満そうに眉をしかめた。


「そういう気持ちが無ければ、結婚なんかしないだろうけどね。でも、倉西は……」

「いいんです。恋じゃないから」


続く言葉を遮った私に、清水さんは黙って静かに視線だけ向けた。
それを感じて、私は左手に持っていた茶碗をトレーに置く。


「憧れてました。他の大多数の女性と同じように。だから、それ以上じゃありません。
だって、誰が見てもそう思うように、私は響さんには不釣り合いです」


箸もトレーに置いて心を落ち着かせてそう言うと、清水さんは先を促すように無言を続ける。
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