ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「ふ~ん。俺ら世代なんだ。悔しいけど、確かに精悦メンバーだな。二部の須藤に、審査の山形。……ん?」


リストの名前を読み上げていた清水さんが、わずかに眉をひそめて言葉を切った。


「?」


その様子に、響さんも気を取られたように清水さんの手元を覗き込む。


「……へええ。面白い面子だな。PB室の中谷もいるんだ」


清水さんがニヤニヤ笑いながらそう呟くと、覗き込んでいた響さんをなんだか意地悪く見遣った。
リストを覗き込んでいた響さんの箸も止まっている。


「……あの……?」


二人の様子に、私は首を傾げた。


響さんは何も言わずに真っ直ぐ前に向き直ると、そのまま再び箸を動かし始めた。
そして、半分ほど食べ残したトレーを持って、ガタッと音を立てて立ち上がった。


「清水、俺、先戻るから」

「はいはい。俺はもう少しゆっくりして行くよ」


相変わらずの態度でヒラヒラと手を振る清水さんに、響さんは眉間に皺を寄せた。


「二時から会議だぞ。お前も急げよ」

「ちゃんと戻るよ」

「あ、お疲れ様ですっ」


テーブルから離れて行く響さんの背中にそう声を掛けて、私は再び前を向いた。
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