ウェディングロマンス~誓いのキスはふたりきりで~
「いえ。あの……うちの香川主任から、座談会の話は伝わってますよね」


少し身を乗り出しながら尋ねると、ああ、と響さんが軽く頷いた。


「聞いてるけど」

「それ、これから私が担当することになったんです! それで、日程のお伺いメールを……。他の参加者と同じ同報メールなんですけど」


へえ、と、響さんが顔を上げて目を丸くした。


「お前が? すごいじゃん」

「はいっ」

「じゃ、戻ったら見ておく」


響さんの返事を聞いてほっこりしながら、私も機嫌よく再び箸を動かし始めた。


私の向かい側から、ふ~ん、と、清水さんが鼻を鳴らす。


「色々言われてるけど、結構ラブラブなんじゃん」


からかうような口調でそう言われて、私は軽く清水さんを睨んだ。


ピークは過ぎたとはいえ、社食のあちこちから視線を感じる中で、どう切り返していいか判断に苦しむ。


「清水、いいから黙って食えよ」


この視線を全く無視して食事を進める響さんもすごい。
清水さんも響さんの言葉に軽く肩を竦めた。


「座談会ねえ……。そういう花形の依頼、いつもお前だもんな~」


わざとらしく拗ねたような言い方をして、清水さんは私の手元の書類をチラッと見遣った。


「ちなみに、他の出席者ってどんな面々?」

「あ、どうぞ」


尋ねられて、私は書類を清水さんに渡した。
清水さんは箸を置いて、出席者リストに目を通す。
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